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有機酸(特に植物酸)の不思議

植物にはなぜ有機酸(植物酸)が多いのだろうと単純に考えてみたので、植物酸についてちょっと調べてみました。

植物はいったん土壌に根を降ろしてしまえば、そこがその植物にとって好適環境であるか否かにかかわらず、一生その場で生活することを強いられるのが普通である。しかし、ある種の植物は単にその環境中で耐え忍んで生きているばかりではなく、根から分泌物を積極的に土壌中へと放出し、それによって不良環境を克服するよう働きかけていることが明らかになってきた。

高等植物においては、同化した全炭素の20~30%は根から土壌中へ分泌されると言われているが、その中でも特に有機酸 (ここではカルボキシル基をもつ有機化合物の総称) は、土壌中の金属イオンと錯体を形成するなど高い反応性をもっており、植物による養分吸収や有害元素の解毒機構に関与しているケースが多数ある。CAM植物(CAM型光合成を行う植物)ではリンゴ酸とかクエン酸が多いとか、ほうれん草の葉の細胞にはシュウ酸が多いとかいうことになり、植物によって、どの植物酸が多くなるかは、植物の置かれた環境との関連でその代謝、調節機構が働く結果といえる。また細胞の中のアミノ酸についても同様で、たとえば窒素肥料を与えれば根組織のグルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸、アスパラギン等は大幅に増加し、無酸素状態にすればグルタミン酸、グルタミン、アスパラギン酸は減少してGABA (gamma-aminobutyric acid)やアラニンが増えるそうだ。同様に植物細胞がリン酸欠乏になると細胞の分裂・増殖は阻害され、タンパク合成(アミノ酸利用反応)も遅くなるが、アミノ酸合成は窒素源や炭素源が充分にありさえすれば進行するので、細胞のアミノ酸含量はマイナーな成分を含めて増加するということになる。つまり、有機酸やアミノ酸は代謝中間体として合成され利用されるので一般的な「細胞内での量の多い順番」をいうのは困難ということなのかもしれない。よく、植物の学術本などの成分リストが量の多い順番に書かれているが、植物酸に関して言えばあまり当てはまらないのかもしれない。

ではなぜ植物(果実)に多量の有機酸が蓄積されるのか?

有機酸を貯めるような果実は動物に食べられることで種子を散布する戦略をとったために動物が食べやすい「味」を持った進化をしてきたものだ。植物に限らず酸素呼吸をするすべての生物(細胞)においてはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸といった有機酸は必ず含まれていて大変重要な働きをしている。動物は糖類、脂肪類を食餌として摂取するし、光合成植物は太陽エネルギーを取り込んで二酸化炭素から糖を合成する。糖や脂肪は炭素、水素といった元素とともにエネルギーを持っている。そしてクエン酸、リンゴ酸など植物酸は、クエン酸回路、TCA回路など一連の生化学過程の一部を担う代謝経路の重要な構成物質となっている。といった具合だ。

 

植物の果実に多量に蓄積されるクエン酸、リンゴ酸などは、TCA回路の中間体となっているクエン酸やリンゴ酸などを引き抜いて蓄積するが、これらは回路反応の構成物質なので途中で回路から別のところにため込むと、回路は構成物質が無くなるので止まってしまう。つまりそれは死を意味するわけだ。そこで、糖の酸化分解過程(解糖系)にあるピルビン酸(アセチルCoAになる前の中間体)に直接二酸化炭素を結合させてTCA回路の一員を作り回路に供給する経路をもち、回路は常に順調に回る仕組みを作っているわけだ。植物酸は生化学的にも重要な物質ということになる。

クエン酸回路
また機能的にも腸内細菌を整えたり、悪玉菌の発生を抑制したりする働きがあることでも知られている。食品化学においても食品の嗜好性を左右する重要な物質ということになる。食品添加物の多くが有機酸であることもそのことを物語っている。

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