骨と組織を助け、自然治癒力をサポート〜スギナ

スギナ(ホーステール)〜骨と組織を助け、自然治癒力をサポート

ホーステール Horsetail

スギナは 古くから西洋でもアジアでもその止血作用や治癒・浄化など多岐にわたって利用されてきたハーブです。

学名: Equisetum arvense

和名・別名:スギナ、砥草(トクサ)

科名:トクサ科

使用部位:葉茎、根茎


leaf3_mini 植物分類と歴史

スギナはトクサ科トクサ(Equisetum)属に属するヨーロッパ原産の多年生草本だ。Equisetum属は、Equisetum亜属とHippochaete亜属の2つの亜属からなる。Equisetum亜属にはスギナ、ミズドクサ(E.fluviatile L.)やイヌスギナ(E.palustre L.)、ヤチスギナ(E.pratense Ehrh.)、フサスギナ(E.sylvaticum)などが、一方、Hippochaete亜属にはトクサ(E.hyemale L.)、イヌドクサ(E. ramoszssimum Desf.)、ヒメドクサ(E. scirpoides.)、チシマヒメドクサ(E.variegatum) などがあり、これらの9種はいずれも日本にも自生している。 学名には、Equisetum arvense 以外にも、E.boreale Bong.E.calderi B.Boivin、E. saxicola Suksdなどのシノニム(異名)が知られている。E. palustre という種類もあるが、これはアルカロイド類やセレンを含む毒性植物で一般的なスギナとは別種のものだ。英名はCommon horstail、Field horsetail、Bottle brush、Shave grass、pewter wort、rough horsetail、Dutch rushなどがあり、単にHorsetailというとスギナを指すことが多い。 「Horsetail(ホーステール)」の名前の由来は馬や牛の尻尾に結わえて蝿よけに用いたことに由来する。ドイツ語では「Zinnkraut」(錫の草)とも呼ばれ、家庭ではスギナの含有成分であるケイ酸(シリカ)のおかげで、スギナで錫製の食器を磨いたため、そのように呼ばれた。東洋ではトクサと一括りで呼ばれることも多い。(本文中ではスギナで統一することにする。) トクサの名前の由来は「砥ぐ草」という意味。これもドイツ同様、成分のシリカの働きにより研磨剤として用いたことに由来する。たわし状に丸めて鍋類、錫や貴金属を磨いたり、家具職人はつや出しに利用した。また漢名は木賊(モクゾク)、木賊草(モクゾクソウ)、節骨草(セッコツソウ)、擦草(サッソウ)、無心草(ムシンソウ)などと称し、漢方のほかアーユルヴェーダでも薬用植物としての利用が主流だ。 スギナは交配種や品種も多く、観賞園芸に利用されている。特に日本では古くから庭園に観賞用として植栽されてきた。最近、生け花用として「巨大トクサ」という名前の植物が栽培される。高さ1.5mにもなる大きなものだが、北アメリカ産のトクサだといわれる。この仲間は、大昔に栄えた植物の生き残りである。スギナの起源は古生代石炭紀にさかのぼり、高さ30mにもなる大木並みの巨大植物(カラミテス)が、スギナの先祖とされ現在の石炭になっている。長い地球の歴史のなかで、多くの仲間が絶滅してしまったが、生き残ったスギナは、北半球に広く分布して、元気に生きのびている。ところで荒れ地などで、スギナしか生えていない光景を目にすることがある。スギナは酸性土壌や荒れ地の指標にされているが、これはほかの植物が生育できないところでもスギナだけが生えているためで、スギナの生えているところが必ずしも酸性土壌や荒れ地とは限らない。 スギナしか生えない理由はいくつか考えられるが、ひとつはアレロパシー(植物間相互作用)つまり、ある植物から出される物質によってほかの植物あるいはその植物自体の生育や繁殖に影響を与える作用)や、劣悪な土壌環境によって、ほかの植物が生育できない場所でも、スギナだけはその影響を受けずに生育できるということだ。よく線路脇や道路脇、土手、石畳など、また、樹木の剪定枝を破砕したチップを敷き詰めたところなどに、スギナだけが生えているのを目にする。特にチップからはアレロパシーを引き起こすなど、動物を含めたほかの生物に影響を与える揮発性物質が出るため、ほかの植物の発芽は抑えられるが、スギナはその影響を受けない。この繁殖力、生命力の強さが、古生代から生き残った生きた化石たる所以だろう。もうひとつ考えられるのは、スギナ自体が何らかのアレロバシー物質を放出していて、ほかの植物の生育や発芽を抑制しているという説もあるが、これについてはまだよくわかっていないようだ。 古生代以来、幾度となく絶滅の危機を乗り越えたスギナは、地下に根茎を縦横無尽に張り巡らすようになった。かつて原子爆弾を落とされた広島でも、この地下根茎のおかげで真っ先に緑を取り戻したのがスギナだったといわれる。

多年草のスギナは砂質で湿気の多い土壌を好み、種子はなく実や花もつけない。地上茎は中空で2本の茎が1本ずつ伸び成長するが、栄養茎と胞子茎とがある。栄養茎は草丈10〜60cmの全草緑色で6〜15条の稜(りょう)があり、節から細い側枝を輪生していて、スギの葉のように見える。輪生する側枝は中身が詰まり、3〜4条の稜がある。葉は退化しており、下部が融合した葉鞘を各節に形成する。葉鞘(ようしょう)は黒色で披針形をした数個の鞘歯があり、葉や枝のもとの方を包むようなさや状のもの。かたや胞子茎は20cm程度で黄褐色を呈し分枝はしない。各節に栄養茎よりも大きな葉鞘のみが残り、袴(はかま)と呼ばれる。胞子茎は穂から繁殖のために大量に胞子を放出し枯れ、その後地下茎で繋がっているスギナが伸びてくる。最初の茎は 10 cmから20 cmの長さで春先に現れ有性生殖する。これがツクシ(土筆)だ。名前の由来は突き出しているから、スギナについて出るから、節(袴はかま)のところで切り離しても接ぐことができるから、など諸説ある。また漢名のひとつ、筆頭菜(ヒットウサイ)もツクシとともに、筆に似ていることからきている。

スギナの薬学の歴史

スギナの治癒力については、古代ギリシアのディオスコリデスが『薬物誌』で、「スギナの搾り汁とワインを一緒に服用すると鼻血を止め、血性下痢にも効き、利尿効果もある。細かく砕いて患部にふりかければ出血を伴う傷口を術着させる。根と地上部の両方が咳や起座呼吸に効果がある」と記述し、古代ローマでは大プリニウスが著書『博物誌』で初めてとりあげ、その止血効果の強さについて、手に握っただけでも効き目があると述べた。Equisetumが馬の剛毛という意味であることから、牧草地によくない草としても記している。 同じく古代ローマのガレノスも推奨し、当時の人々は強壮剤として、また黄色の染料としても利用していた。また中近東ではアラビアのユナニ医学のアヴィケンナ(イヴン・シーナ)も取り上げている。12世紀のベネディクト派修道女であった修道女聖ヒルデガルトは、スギナは痙攣と前立腺の病の治療に効果的といっている。また「スギナの冷性(冷えに対する効果)は優れていて健康的であり、有害な食物から生じた熱によく効き、ワインで煮て飲むと効果的。また扁桃腺炎、歯肉炎、ポリープにも、スギナティーで口をゆすいだりうがいをしたりするとよい」と、著書『フィジカ(自然学)』に書いている。 さらにスギナは最も重要な薬用植物のひとつにあげられ、ビタミンC、苦味成分、サポニンのほか、植物には珍しい微量元素のアルミニウムを含む。葉にケイ酸を含むため「動脈硬化」の治療に適しており、軟化した肺組織を強固にし、結核などその他の肺疾患に効果がある。利尿作用があるため、水中毒、腎臓.膀脱の疾患、リウマチの浄化に使われる。外用としては、膿瘍、にきび、化膿した傷の湿布や罨法(あんぽう:漢方医学の治療法の一つでもあり、身体の一部を温めたり冷やしたりして病状の好転を図る治療方法)にも使用される。うがい水はカリエス、扁桃腺炎、歯肉炎にも効果がある。 中世になると腎臓膀胱疾患、関節炎、出血性潰瘍や結核の民間療法として、また利尿剤としても広く使われた。修道院の薬草学の流れでのスギナは、ケルンの*アルベルトゥス・マグヌスによる「ライプツィッヒ薬草学」で、スギナについてガレノスの叙述を引用している。

人物

「ガレノスは次のように述べている。この植物には苦みがあり、噛まずに乾燥させるのがよい。治りにくい傷口を塞いで硬化させるため、吐血に適し、月経血を鎮め、腸潰瘍と腹部の漏に効果がある。膀胱内の傷を短期間で硬化させるという者もいる」と。 *アルベルトゥス・マグヌスは大聖アルベルト、ケルンのアルベルトゥスとも呼ばれる13世紀のドイツのキリスト教神学者である。またアリストテレスの著作を自らの体験で検証し注釈書を多数著す。錬金術を実践し検証したこともその一端である。カトリック教会の聖人で、普遍博士と称せられ、トマス・アクィナスの師としても有名である。 16世紀の本草学者ビエロニムス・ボックは厄介な雑草だとしながらも、「ボックの本草書」の中でその治癒を賞賛している。 17世紀の英国のハーバリストであるニコラス・カルペパーは、ホーステールの圧搾液(フレッシュジュース)や煎出液を止血の目的に使用した。また、結石、尿石症や膀胱炎による排尿痛の緩和にも用いられ、ドイツでは外傷後の浮腫に内用され、18世紀にもプロイセンのフリードリヒ大王の侍医フリードリヒ・ホフマンなどによって腎臓と膀胱の病に用いられていた。さらに19世紀のクナイプ療法でおなじみのセバスチアン・クナイプ神父が「かけがえのない、評価できないほどの効果を出血、吐血、腎臓膀胱の病気、結石に対し持っている」と再評価する。


クナイプ療法の聖地 バード ヴォーリスホーヘンにあるクナイプ銅像

20世紀になると、薬草の自然療法家マリア・トレーベン(1907-1991)は、著書『薬用ハーブの宝箱』はベストセラーとなり、多くの言語(24カ国)に翻訳された。

書籍
Gesundheit aus der Apotheke Gottes(薬用ハーブの宝箱)
この本には彼女がその治癒力を絶賛した31種類の薬草があげられている。スギナもそのひとつで、具体的にたくさんの効能、実践が書かれているが、トレーベン女史もクナイプ神父の「あらゆる病気に(それを治す)植物が存在する」と書く植物療法を下地にしている。「昔、大変尊重されたスギナに再度脚光を浴びせたのはクナイプ神父に他ならない。出血、吐血、膀脱及び腎臓の障害、尿路及び結石に「独特で代替できずしかも非常に貴重である」と断言した」と書いている。そして「膀脱及び腎臓の障害には、スギナの熱い座浴を。慢性の気管支炎及び肺結核の最良の医薬となるのはスギナであり、このお茶を続けると含有するケイ酸のおかげで肺が丈夫になり虚弱を一掃する。椎間板ヘルニアにもこの座浴が有効である」などの具体例が載っている。美容の分野でもスギナは重宝された。ちなみに1942年まで実施されていたフランスのエルボリストリ(ハーバリスト)の国家試験向け教本には、含有するミネラル成分により、軟骨、腱、骨を 強化し皮膚や結合組織の修復を行いニキビなどの改善にも効果があると記されていて、フィトテラピーでは骨関節系の薬草として重宝され、カリエスの予防、爪の強化、抜け毛防止、皮膚の代謝促進に使われ、ナチュロパシー(自然療法)分野では、骨粗鬆症の予防に前更年期の女性にスギナの摂取を勧めている。 古代中国においては「問荊(もんけい)」と称され万能薬として愛用されてきた。止血や皮膚炎などに対して用いられており、『本草綱目(ほんぞうこうもく)(李時珍1518年 – 1593年)には「薬理:利尿作用、心臓の血管の丈夫にする、糖尿病、すい臓機能の活性化、血圧降下作用、止血。効用:咳止め、解熱、月経不順、骨折の痛み止め、細菌に侵された泌尿器官を正常にする、咳、喘息を抑える。」と記されている。

書籍
本草綱目と李時珍

日本では解熱や滋養強壮のための漢方としても活用されてきました。ほとんどの薬草系民間薬が中国伝来の漢方植物であるのに対して、スギナは西洋系で日本に民間療法として伝わったのは江戸時代、オランダやポルトガルとの交易でスギナの薬効が日本に伝えられたことが始まりのようだ。


安全性と相互作用

安全性:2d(腎臓疾患のある場合は使用不可) 相互作用:クラスA(相互作用が予測されない) (Botanical Safety Handbook 2nd edition アメリカハーブ製品協会(AHPA)収載)


学術データ(食経験/機能性)

西洋での利用例は前述の通りだが、漢方薬として用いる場合、スギナの栄養茎を収穫後、乾燥させて煎剤として用いるのが一般的だ。 もちろん新鮮なままでも煎じたり、アルコールにつけてチンキ剤としたりする。利尿、止血、止咳などに内服するほか、切り倦、打撲などに外用する。栄養茎の有効成分はエキセトニン、エキセトリン、イソクエルセチン、ガルテオリン、ケイ酸(ケイ素)、/3シトステロール、パルストリン、ジメチルスルホン、チミン、3-メトキシビリジン、有機酸、アミノ酸、脂肪など。このようにサポニンやステロイド、アルカロイド、フラボノイドを含むほか、チアミナーゼを含んでいてチアミン欠乏を引き起こす可能性もあり、一般にはティー以外、食用として食べることはない。 西洋でもあまり食材とての記録は見つからない。かたや胞子茎であるツクシはご存知の通り、山菜として利用している。都会ではあまり食べる機会もすくなくなってしまったが。この時期(4月から5月)胞子をまき散らす前の若いものを摘み取り、葉鞘を硬いので取り除き、よく水洗いをして、沸騰した湯に5分も入れれば茄で上がる。茄でたツクシを、おひたし、和えもの、炒めもの、お吸いもの、卵とじ、佃煮などにするほか、水洗いしたものを天ぷらで食べる。つくしにはビタミンEやビタミンB1、葉酸が多く、栄養価もあるが、栄養茎と同様の成分も多少含むため、長期継続的に食べすぎない方が良い。江戸時代には、スギナの若芽を米のとぎ汁でかるく茹でて、ユズの薄い輪切りを添えて汁にして食べたという。明治天皇がつくし料理を好まれたことから、*福羽逸人(ふくばいつじん)が、明治時代に宮内省新宿御苑でつくしの促成栽培をしていたそうだ。

人物

一般財団法人 国民公園協会新宿御苑HPより引用

*福羽逸人は安政3年(1856)に島根県津和野に生まれ、明治10年(1877)に21歳で内藤新宿試験場の実習生となる。明治31年には新宿御苑の総責任者にまで上りつめ、日本初の国産イチゴ「福羽イチゴ」の作出や、明治33年のパリ万博への菊の大作りの出品、新宿御苑の庭園としての大改造など、数多くの功績を残した。

●乾媒スギナの作り方
スギナの生命力が一番旺盛な4〜5月頃、採取したスギナをよく水洗いした後で、3〜5日ほど陰干しして乾燥させ、細かくカットして広ロピンや缶などに乾燥剤とともに入れて保存する(遮光・密閉.冷保存)。自然の中で力強く育った野草スギナを採取して、自分で加工するのも醍醐味であり大変おすすめだが、現在はスギナの茶葉はもちろん、スギナの粉末タイプ、焙煎して飲みやすくしたティーバッグなど、忙しい現代人に手軽なものも多く市販されている。また洗顔後にスギナ化粧水でパッティングすると、肌がしっとりし、吹き出物などの治りも早くなるようだ。特にミネラル分が豊富で(20%)、中でもケイ素(シリカ)がたっぷり含まれているため、整肌作用も期待できる。シリカは簡単に水に溶けないので、粉状または煮出し液として摂取するのが一番効果を得られるようだ。

スギナ

●スギナの機能性

スギナは一般の野菜類に比べてミネラル含有量が多いのが特徴で、ミネラル豊富な野菜の代表である「ほうれん草」と比較しても、カルシウム=155倍、リン・カリウム=5倍、マグネシウム=3倍といった栄養素を含む。また植物体には3-16%のケイ酸(シリカ)を含んでおり、古くから植物性利尿剤として用いられてきた。 シリカ(二酸化ケイ素)は生物圏で酸素の次に多い元素で石英として存在するが、その一部は可溶化して植物に取り込まれ、シリカ(二酸化ケイ素)やケイ酸塩として含有される。シリカは医学の分野で1972年人体の必須栄養素のひとつであることが確認されており、結合組織の強化や修復、再生能力に優れ、強度や弾力性を高めるために役立つミネラルとして、カルシウムと同様に体内で骨や軟骨の発育やコラーゲン・エラスチンなどの結合組織の強化・修復・再生に関与し、コラーゲンやエラスチンが含まれる皮膚の結合組織の強度や弾力性を高めるのに欠かせない成分だ。シリカと言えば「シリカゲル」を思い浮かべる方も多いと思うが、 残念ながら植物が取り込んだシリカと違って、石英のシリカゲルはそのまま体に入れても吸収されないので、くれぐれもシリカゲルを口にしないように。 植物美容の分野でも、弾力のある美肌、爪のトラブル(折れやすい爪、爪の変質)や、細くなり弾力・艶を失った髪の改善にと、古くから用いられ、現在でもスギナエキスとして様々なスキンケア商品にも配合されている。美容皮膚科などでよく、ケイ素を含んだシリカパックがあり、シワやほうれい線などのくぼみを肌表面に引っ張り上げる効果があるとか。最近では体内の余分な水分を利尿作用により排泄し、コラーゲン組織を強化することで、むくみを改善し、皮膚が引き締まった印象を与えることで、小顔効果のサプリメントとして話題になっているようだ。また、体内の傷を修復し、出血を止め、組織の治療促進をしてくれるため、アメリカでは多くの運動選手やボディビルダーが関節の怪我の予防や挫傷した患部の早期治療のために使用しているとのこと。

●スギナの薬理作用

スギナは昔から利尿、解熱、止血作用などがあり、民間薬として人々に利用されてきましたが、日本でも徳島大学、星薬科大学などで薬草の研究が行われた結果、スギナにはのどの粘膜に働き、痰を取り除く作用をするサポニンや皮膚のかぶれを防ぐタンニンが含まれているほか、ミネラル成分のカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、ケイ酸などが豊富に含まれ、これらの成分が総合的に働いて免疫力を高め、糖尿病、膀脱炎など、さまざまな病気の治癒を促すものとして注目されてきた。前述の中国の『本草綱目』にもスギナは“問荊"として記され、その薬理作用は利尿、循環器系強化、糖尿病、高血圧、止血、鎮咳、解熱その他泌尿器系、抗腫瘍作用など書かれている。またドイツのマルコム・フルケの『人間医学便覧』(1978年)には「スギナは気管支疾患に有効であるケイ酸を含んでいるため、血液を強化し、貧血、失血、腎臓や膀脱疾患に有効である、外用に用いれば止血に効力を発揮する」と記されている。歴史の項でも触れたので、簡単に作用を整理しておく。
*利尿作用
スギナには収れん作用があり大変利尿作用の高い植物のひとつ。炎症、出血を和らげ、膀胱炎など泌尿器系の症状や感染症に効果的だ。前立腺の炎症にも有用で腎臓結石の除去も早める働きがあり、オネショの改善にも良いとされる。漢方薬でも泌尿器系のトラブルに用いられる。
*止血作用
潰瘍からの出血や重い生理時の出血を抑える働きがある。またノドの痛みや歯茎からの出血を抑えるにはティーでうがいをしたり口を漱ぐと良い。打身や傷など皮膚のトラブルにはティーをガーゼなどに浸し直接患部に湿布する。
*腎臓のケアに
腎臓は尿酸の結晶が沈着しやすく、腎臓結石を引き起こししまう事があるが、スギナの高い利尿作用は溜まった尿酸を排出するのに役立つ。
*肌や髪を美しく
抗酸化、抗炎症作用が強く、シリカ(ケイ素)も含まれているのでお肌、髪と地肌の健康を促進しダメージから守ってくれる。特に肌の赤味、ニキビを抑え、乾癬や湿疹などの肌のトラブルを和らげる効果がある。また抜け毛を防ぎ、毛包(毛を生産する器官)を強化するため、髪のツヤ出しにも期待できる。

●自然療法での利用方法

*内用として: ミネラル補給、骨折部の癒合、骨粗鬆症、 前更年期、更年期には粉末にして服用すると効果があるといわれている。家庭で粉末にする場合、乾燥したスギナを粉砕し、ふるいにかけて細かい粉状にする。摂取方法はネトル(粉)1/3に対しスギナ(粉)2/3の割合で80mℓの水に混ぜて飲むか、1 日小さじ1杯の粉末を食物にふりかけて、3ヵ月ごとに3週間摂るようにするが、3週間を超えないようにする。慢性リウマチ、関節症、筋痙攣には1日大さじ1 杯のスギナのハーブウオーターを1リットルの水で薄めて 3ヵ月ごとに3週間飲む。腎仙痛、腎臓結石、膀胱炎、外傷性浮腫には煮出液にして飲む。70 g の乾燥スギナを1リットルの水に入れて一晩置き、翌朝、とろ火で10分間コトコト沸かした後、15分間浸す。3回に分けて1日湯飲み1杯を3週間飲む。 注)ごく少量のチアミナーゼを含んでいるといわれ、カナダ厚生省はスギナを原料とするサプリにチアミナーゼ除去済み証明の添付を義務づけている。しかし人体で抗チアミン作用を起こすかどうかは明らかにされていないし、この酵素の作用は100°Cの熱を加えると消えるのでそれほど神経質になる必要もないのではと思う。ただし3週間以上の長期服用は避けた方がよいだろう。また次のような場合は服用しないほうがいよい。
・心臓、腎臓の機能障害による浮腫のある人、肝臓、腎臓の病気を患っている人は禁忌
・12歳以下の子ども、妊婦、授乳中の女性は避ける。
・ジキタリス製剤投与中の人も禁忌

*外用として:
けが、骨折、腱炎、結合組織の劣化による肌トラブル(肌の老化、妊娠線等)に効果がある(欧州植物療法 科学協議会ESCOP Monographs, フランス医薬品安全庁AFSSAPS Monographsより)。 500 mℓの水に20 g のスギナを入れ5時間以上漬け置き、とろ火で30分煮出し冷ました後、湿布にして使う。煮出液はシワ予防のクリームやジェルの基材にもなる。
*スギナの腰湯
100gのスギナを一晩水につけ、翌日それを沸騰させたものを湯船にスギナとともに入れ、30分ほど浸かる。有効成分が身体の芯まで温め、血液得環をよくすることで神経痛、腰痛、婦人病、痔漬、胃腸病、冷え性、リウマチなどに有効。


スギナを煮込んで、そのままお風呂へ

*スギナの温湿布
スギナ茶に熱湯を注ぎ湿らせ、ガーゼかさらLに包み、蒸し器で5-6分蒸して、患部に当てる関節炎、リウマチ、肝臓病、リンバ腺炎、腸疾月などに有効。
*スギナ化粧水
スギナ15gを煎じ、焼酎40g、グリセリン20Eレモン汁を加えてよく振る。冷蔵庫で保存。美月のみならず、皮膚病の改善などにも役立つ。
*スギナチンキ
ウォッカなどアルコール分の高い蒸留酒1リットルにスギナ50gを入れ、ときどき瓶をふって2-3週間おいて作ったチンキ剤は、多汗にも用いられ、靴の中敷きに塗っておくとよい。

自然療法の先進国のドイツでは、現在でも医療機関で次のような使い方がされている。
・煮出した煎じ薬は、冷まして飲むと出血を抑え、胃潰瘍の場合は、この煎じ薬を半時間おきに大さじ1杯飲むとよい。
・鼻血にはこのお茶を鼻に流し込むと効く(スギナが固いので、数時間水につけておいてから、そのまま10-15分煮て、火を止めてさらに数時間おいてから漉す)。
・セントジョンズワートとのブレンドティーは、夜尿症に効果がある(このハープはドイツの道端などで黄色い花を咲かせ自由に摘むことができる)。
・スギナティーは、動脈硬化の予防や解毒に役立ち、胃の浄化には冷たいスギナティーを一定時期に摂ると効果的。

また骨の再生や組織の若返りの効果があると聖ヒルデガルトも書いているシマセンプリ(Centauriumum bellatum)とのブレンドティーには腎臓の浄化作用があり、ジュニパーおよび少量(苦いので)のワームウッドとのブレンドティーには強壮と血液浄化作用がある。

ところで、ヨーロッパでは成分を抽出する最もよい方法が古来よりワインによる浸出だとされている。ワインに薬草を入れて煮たて浸出させる、またはそのまま浸けておく方法がある。スギナワインはスギナをすりつぶしてワインに入れ、2週間ねかせて作る。1日3回、小さなリキュールグラスで飲むと、血色がよくなり強壮効果があるという。その他ドイツの民間療法には、スギナパウダーを牛乳に入れて沸かした強壮剤がある。血液をつくる効果もあるとされていて、毎日小さじ半分を摂ると良いそうだ。


人物

現代の草魔女ビッケルさんもこの利尿効果で春季療法に勧めている。(ドイツではケルトの時代から脈々と魔女の家系が存在し、現実に魔女と呼ばれる民間療法士やハイルプラクティカといった医療の専門資格に先祖が魔女だったという方もいるようだ。この話は、長くなるのでまたの機会にお話しした方がよさそうだ。)そのほかハーブティー処方では、他の強い利尿作用をもつネトルやシルバーバーチ(白樺)とのブレンドティーがより効果的で、先ほどのビッケルさんは、痛風とリウマチ対策のブレンドティーにも使用すると著書に書いている。 雑草として時として邪魔者扱いされるスギナだが、ケイ素やカルシウムを多く含むスギナは超高齢化社会の自然治癒力を助ける自然薬として骨粗鬆症などの予防や組織の機能低下などアンチエイジングにもその有用性が再認識されてきている。先人の知恵と科学的根拠を正しく理解し、このハーブをうまく生活に活用していただきたい。

(文責 株式会社ホリスティックハーブ研究所)


参考文献(書籍)
「プリニウス博物誌(植物篇)」大槻真一郎 編集
「デイオスコリデスの薬物誌」デイオスコリデス著
「薬用ハーブの宝箱」マリア・トレーベン著
「中世の食生活」B・A・ヘニッシュ著 藤原 保明 訳
「中世ヨーロッパの生活」ジュヌヴィエーヴ・ドークール著 大島誠訳

「修道院の薬草箱」ヨハネス・G・マイヤー、キリアン・ザウムほか著
「身近な雑草の愉快な生きかた」稲垣 栄洋、三上 修 著
「スギナの薬効ヘルス研究所」今西義則著
「スギナの実力」三宅辰信著 
「日本薬草全書」田中俊弘著 新日本法規
「健康・機能性食品の基原植物事典」佐竹元吉ほか著
「メディカルハーブの辞典」 林真一郎編
「Botanical Safety Handbook」 アメリカハーブ製品協会(AHPA)編
「The complete New Herbal」 Richard Mabey著
「The Green Pharmacy」 James A Duke著

データベース・公文書等
NIH National Library of Medicine’s MedlinePlus Proceedings of the National Academy of Sciences
健康食品データベース 第一出版
Pharmacist’s Letter/Prescriber’s Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳

論文
・Michel Dubray : Guide des contre-indicauons des principales plantes medicinales. Editions Lucien Souny 2010 ・Jean Bruneton : Pharmacognosie (phytochimie plantes medicinales), Editions Lavmsier (2009)
・Cours des plantes du systeme osteo-articularre du programme de phytotherapie de ELPM (Ecole Lyonnaise des Plantes Medicinales) 2011
・Maria Treben . Gesundeit Aus Apotheke Gottes: Ratschlaege Und Erfahrungen Mit Heilkraeutern (2008)
・Pierre Lieutaghi, 2006, Les bonnes herbes, Edition Actes Sud
・Laurence Chaber, Alain Cretan, 2013 . Plantes de sante, Baumes et Tisanes, Editons Sequoia Editions

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