血流促進のブレインハーブ、イチョウ

イチョウは血液の流れを促進してくれることが知られる東洋のメディカルハーブ

学名:Ginkgo biloba (ギンコ ビローバ)

和名・別名:イチョウ、ギンコ、ハクカヨウ(生薬)

科名:イチョウ科

使用部位:葉部


leaf3_mini 植物分類と歴史

イチョウは、2億年も前から地球上に存在し「生きた化石」と呼ばれ、わが国でも長寿の木として知られています。裸子植物の高木で雄の木と雌の木があってはじめて実(銀杏)がなります。イチョウは病や害虫にかかりにくく、痩せ地でも良く耐えて成長し剪定にも耐えるので、街路樹に適した樹種です。雌雄異株のため、最近街路樹として植栽されているイチョウは、すべて不明株に雄の木を接木したものです。

イチョウは脳の血管を保護し血液循環を促進するため、アルツハイマー型や脳血管型の認知症に用いられ、さらに耳鳴り・めまいに加えて、最近では網膜症や神経炎など糖尿病の合併症の予防にも活用されています。かつての原産国のひとつ、中国では、虫の駆除に使用されていたそうです。漢方の書物である「神農本草経」では気管支によいと書かれています(中西香と呼ばれている)。

leaf3_mini 安全性基準および相互作用

安全性:クラス1 適切に使用する場合、安全に摂取できるもの
相互作用:クラスB   相互作用が起こりうるハーブ、抗凝固薬、ニフェジピン、MAO阻害薬に影響を与える可能性。
*手術を予定している患者は手術の7日間前にはイチョウ葉の使用を中止することが忠告されている。
(Botanical Safety Handbook 2nd Edition アメリカハーブ製品協会(AHPA)収載)

leaf3_mini 学術データ(食経験/機能性)

イチョウのハーブティーはそれほど香りも味もありませんので、他のハーブとのブレンドをオススメします。鉄分を多く含むネトルなどと組み合わせると、貧血予防にもオススメできます。またイチョウはサプリメント(イチョウ葉の抽出物)、ハーブティーなどで使用されます。お茶としてはあまり味が無いので、ウォッカなどにつけておいて、チンキの作り置きにすると便利です。およそ1年はもつので、気軽にお茶や飲み物に入れて使うことができます。

イチョウ葉エキスは1960年ドイツで研究され、成分のバイフラボンやテルペンラクトンなどが脳代謝、アルツハイマーの予防によいとされ、1994年には医薬品として認可されました。アメリカではアルツハイマーによい食品として最も売れている健康食品です。

ドイツでも1年に500万件の処方がされています。サプリメントとしても広く使われています。また、血流を改善する働きから、冷え症や血流の悪さから来る片頭痛などの予防に使われてもいます。アメリカにおいては、脳内活性食品(ブレインフード)食品ですが、ドイツではギンコール酸を除去したイチョウ葉エキスが1994年に認知症の医薬品として登録され使用量が制限されています。

参考:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 「森林の多面的機能」

お茶として飲む場合も1日1,2杯ほどにしましょう。

leaf3_mini 成分ほか

フラボノイド配糖体、ギンコライド、ビロバリド、バイフラボン(2重分子フラボン)、*ギンコール酸(アレルギー性あり)

leaf3_mini 使用上の注意

イチョウにはギンコール酸が含まれるため、アレルギー性があります。イチョウ製剤に過敏な人へは禁忌です。

ワルファリン、アスピリンとの併用は不可です。MAO阻害薬(現在はほとんど使われない薬ですが)に影響を与える可能性があります。また生理前の使用は避けましょう。PAF阻害と血管拡張の作用のため、いわゆる血液さらさら作用がありますが、血液凝固薬等の使用中は服用しないようにします。また、抗うつ剤(トラゾン)との併用も避けましょう。特にイチョウ葉エキス等のサプリメントは、使用量を守って服用しましょう。


<用語紹介>
この記事内の専門用語の意味や参考となるサイトをご紹介します。
雌雄同体・・同じ樹の中にに雄花と雌花が別々につくもの(参考:一般社団法人日本植物生理学会HP 「雌雄異株植物の花序以外の組織の形態差」)
神農本草経・・中国最古の薬物書。古代中国伝説上の帝王で薬祖神とされる神農が百草をなめて薬品を区分したという伝説にもとづいている書物である。(参考:公益社団法人 日本薬学会 薬学用語解説 )


<最新情報>

2018/10/3更新
(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所は2日、海外で発生したイチョウ葉エキス(エキスでありティーのイチョウではありません)の摂取による健康被害情報を素材情報データベース上で公表しました。
主な内容をご紹介します。
*英国では、65歳女性がイチョウ抽出物を1日に40mg×3回、2年間にわたって摂取した結果、水晶体吸引術中に眼球突出、痛み、視力低下を生じた。イチョウとの関連性が疑われる急性球後出血と診断された。
*イタリアでは、49歳男性が認知機能向上を目的に、イチョウを1日に40mg×3回、2週間にわたって摂取したところ、動悸を生じた。受診して、左脚ブロックと認められた。イチョウの摂取を中止して改善したが、摂取再開の2日後に症状が再発。イチョウとの関連性が疑われる心室性不整脈と診断された。
*また、イタリアの29歳男性が、ガラナ500mgやイチョウ抽出物200mgなどを含む製品を摂取したところ、数時間後に重度の筋肉痛、暗色尿などを生じた。男性は横紋筋融解症と診断された。
詳細は医薬基盤・健康・栄養研究所の素材情報データベースを参照ください


参考図書
「The Green Pharmacy」 James A Duke著
「The complete New Herbal」 Richard Mabey著
「Botanical Safety Handbook アメリカハーブ製品協会(AHPA)編集」
「メディカルハーブの辞典 林真一郎編集」
ハーブの安全性ガイド Chris D. Meletis著」
「薬用ハーブの機能研究 CMPジャパン(株)編集」
「Fifty Plants that changed the course of History Bill Laws著」
『西洋博物学者列伝―アリストテレスからダーウィンまで』ロバート ハクスリー著</span>
「ケルトの植物」Wolf‐Dieter Storl (原著)
データベース

Proceedings of the National Academy of Sciences
健康食品データベース 第一出版 Pharmacist’s Letter/Prescriber’s Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳
米国国立医学図書館 PubMed®

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