アーユルヴェーダの若返りハーブは脳を活性する〜ゴツコラ

ゴツコラ 〜アーユルヴェーダ医学の若返りハーブ

ゴツコラ(ゴトゥコラ) Gotu kola,centella

ゴツコラは脳、神経系の若返りのハーブとして5000年の歴史をもち、最近では、アルツハイマー認知症への応用が期待されているハーブです。

学名: Centella asiatica

和名・別名:セントラ、ブラフミー、ツボクサ、レンセンソウ

科名:セリ科

使用部位:葉・茎部


leaf3_mini 植物分類と歴史

ゴツコラはインド原産の多年草で高さ50cmくらいに成長するハーブで、細い茎に扇形で無味無臭の葉をつけ、白から紫がかったピンクの小さな花をつける。茎の節からは根が出て大きな群生域を作る。葉の輪郭は丸く、根もとに切れ込みのあるハート形をしており、その直径は5cmほど。この丸く上品な葉は昔の英国の1ペニー硬貨ほどの大きさだ(英語の通称「インデアン・ペニーワート」はここからついたもの)。

Gotu Kola(ゴトゥコラ)はスリランカのシンハラ語です。スリランカでは皆「ゴトゥコラ」と発音し呼んでいる。 またインドではBrahmi(ブラフミー)と呼ばれている。ゴトゥコラはサンスクリット語では「蛙の葉」という意味で、Manduka=「蛙」Parni=「葉」を意味し、言葉の通りじっとしている時の蛙に葉の形が似ている為だとされる。

インド、スリランカ、マダガスカル以外にも中国、インドネシアなどの東南アジア諸国や南アフリカ、中南米などでも見られる。また米国では、アジアからの移民によって持ち込まれたと思われるゴツコラが、フロリダ州やメキシコ湾岸の諸州、ハワイ州やワシントン州で帰化して、湿った沼地に生育し広く分布している。商業的な原料としては主にインド産が多いが、最も品質が良いのはマダガスカル産と考えられている。 スリランカではあちこちに見られるハーブで、味は苦みがある。

またインドでの呼び名ブラフミーはアーユルヴェーダにおいて特に呼ばれる名前だが、「創造の神ブラフマンの知恵(ブラフマンはヒンドゥー教またはインド哲学における宇宙の根理)」という意味に由来し「知恵を助け、崇高な実態についての認識をもたらすもの」とされ、瞑想を助けるハーブとしてヨーガの修行をする人達の間でよく使われるハーブとして知られている。

欧米でも、Brahmiの名でハーブ・サプリメントとして商品化されている。 乾燥させた全草(根部、茎部、葉)は中国医学とアーユルヴェーダで用いられ、「最も重要な若返りのハーブ」として扱われるほか、霊性の高い植物として瞑想の時に用いる薬草としても利用されている。一般的なアーユルヴェーダではその植物全体を薬として使うが、ゴツコラに関して果実は存在しない。ヨーロッパと北米においては、医療目的として乾燥させた開花期の地上部が使用されている。

ところで漢方では、似たものはその部分を補ってくれるという「似類補類(にるいほるい)」という考え方がある。これは植物の一部の模様や形が人の臓器に似ていれば、病んだその部分を補ってくれるという療法の考え方だ。西洋にも同様の考え方がある。そう言われてみるとゴツコラの葉の形は脳の内部に似ているように見えないだろうか?

ということは似類補類の考え方では、記憶力や認知機能によいということになる実際にアーユルベーダでも西洋の植物療法においてもゴツコラは主に神経と脳細胞を活性化するハーブとされる。これも似類補類の発想なのだろうか?

また、ゴツコラはコーラナッツと呼ばれることがあるが、かつてコーラ飲料に用いられていたコーラ(Cola nitida、アオギリ科)とは異なるので注意して欲しい。(コカ・コーラ の名は「コカノキ」の葉から抽出された成分と「コラノキの実」の抽出液が含まれていることから、「コカ&コラ」として命名された。)ゴツコラはカフェインを含まず、刺激物ではない。

またインドでは、ゴツコラは一般にバコパ(Bacopa monnieri、ゴマノハグサ科)と混ぜられる、もしくは代用されることが多いということに注意が必要である。(バコパは水草でもよくホームセンターなどで売られているのでご存知の方も多いのでは?) ゴツコラもバコパもインドの市場では前述のブラフミー(Brahmi)の名で販売されている。
公式なアーユルヴェーダの書物などでは、Brahmiがバコパ(全草)のサンスクリット名であり、ゴツコラ(全草)のサンスクリット名がMandukaparniであることが明記されているが、Mandukaparniはヒンドゥ語とカンナダ語ではバコパに用いられている名前である。その他の言語による混乱としては、ウルドゥ語でBrahmiはバコパとゴツコラの両方を指すということがある。しかし、形態学的特徴と化学分析では、バコパはゴツコラとは別の植物である。


ゴツコラの歴史

ゴツコラの歴史はとても古く、約5,000年以上前から利用されてきた歴史を持つアーユルベーダのハーブであるが、アーユルヴェーダハーブの処方については、インドが伝承文化ということもあり、あまり学術的な文献が少ない。ゴツコラの歴史上の記録としては、約2千年前の古代中国の『神農本草経』*に「雪積草(セキセツソウ)」として上品に分類されている。中国の人々は、ゴツコラを解熱や呼吸器疾患の治療に用いた。
*『神農本草経』は365種の薬物を上品(上薬)・中品(中薬)・下品(下薬)の三品に分類して記述してある。上品(じょうほん)は無毒で長期服用が可能な養命薬120種、中品(ちゅうほん)は毒にもなり得る養性薬120種、下品(げほん)は毒が強く長期服用が不可能な治病薬125種としている。

中国の言い伝えでは、197歳(他説によると256歳もしくは265歳)まで生きたと信じられている中国の医師、李青曇(り せいどん)*がゴツコラを常用していたため「奇跡の不老不死薬」の一つと呼ばれている。彼は山で薬草を集め、長寿への効能を学んだ。霊芝やゴジベリー(クコの実)、野生の高麗人蔘やフォーチ(ツルドクダミ)、ゴツコラといった薬膳と米酒を飲んで生活を送っていたとされている。
*李 青曇は、中国の漢方医で「256歳まで生きていた」とされる人物(満年齢では255-256歳、数え年では257歳)。ギネス非公認記録で、実在したという証拠(写真など)がある人物としては、世界一長生きした人物であるとされる。

和名ではツボクサ、日本でも雪積草の名で生薬としても古くから重宝され、傷や火傷の治療など幅広く用いられてきた。関東以西から沖縄まで普通に見られる雑草のひとつだ。そもそも雑草という植物は無いのだが。ツボクサのツボは“垣根で仕切られた庭”を指すという説があるが、定かでは無い。本属には20種類あるそうだが、日本で知られているのは本種のみである。


安全性と相互作用

安全性:クラス1(適切に使用する場合、安全に摂取することができるハーブ)
相互作用:クラスA(相互作用が予測されない)
(Botanical Safety Handbook 2nd edition アメリカハーブ製品協会(AHPA)収載)


学術データ(食経験/機能性)

ゴツコラはインドやスリランカでは至る所に自生していて、鉄分も豊富なことから野生の生の葉をサラダ等に野菜として使用する。また新鮮な葉を子供の熱や腹部の不快感や炎症などにも使われる。古代インド人たちも野菜として食用にしていたようだ。甘苦く、つんとする味が活力をよみがえらせるハーブ(香草、薬草、植物)とされ、長きに渡って若返りの薬や集中力や記憶力を高めるとして評判の高い薬草だった。現在では抗炎症作用がヨガやスポーツの後の施術の他、サプリメントなどの原料として活用されている。またアーユルヴェーダのスキンケア商品には必ず入っている。

インドやスリランカでは、「コラカンダ」と呼ばれるおかゆ(ゴトゥコラ、ココナッツミルク・お米・ジンジャーなどを煮込んだもの)を食し、昼・夜にはゴトゥコラサラダ(ゴトゥコラ、ココナッツ、ライムなど)を食べるそうだ。 特にスリランカでは朝食の定番料理で、カレーリーフやホーリーバジルを用いたものなど、コラカンダも多種多様だ。中でも最もポピュラーな素材がゴツコラだ。「こんなにゴトゥコラを食べているのはスリランカ人だけ!」とインド人にいわれるほどらしい。

ゴツコラ   
コラカンダ(左)とラウマー(右)

またベトナムではコツコラをジュースにして飲まれている。ベトナムの青汁として道端のあちこちで売られている飲み物で、お店には「Rau má(ザウマー / ラウマー)」とよばれている。これがゴツコラを使ったジュースらしい。 砂糖が入っていて甘く、日本の青汁ほどの臭みはないので、体にいいと思えば日本人でも飲み続けることができる飲み物らしい。体の熱を逃がす作用があるので、特に暑いベトナムでは飲む人が多いそうだ。 また、お肉と一緒に炒め物にしたり茹でたりして食べる。中でも、最も食べられているのはスープで、ひき肉でダシをとって、たくさんのゴツコラを投入し、一度にたくさんの量を食べるそうだ。食べると味がミツバに似ていて、日本人にとっては馴染みやすい食材らしい。


ひき肉とツボクサのスープ

このようにゴツコラは、インド、スリランカを始め、東南アジアのアーユルベーダ文化のある国々では、体に良い身近な食材になっている。当然、食経験が長い分、アーユルヴェーダ医学においては、重要な植物の一つとなっている。古くは催淫薬として用いられた他、膿瘍、喘息、下痢、癲癇、発熱、肝炎、高血圧、心的疲労、胃潰瘍、梅毒と様々な疾病に使われてきた。 19世紀のインド薬局方にも含まれており、1880年代にはフランス人にも薬として受容された。その効能から世界保健機構(WTO)によって『21世紀の重要な薬草リスト』に加えられた。
WHOの発行する文献の中で以下の効果を述べている。(一部を紹介)
*鎮静効果があり、中枢神経系を安定させる。
*疲労を軽減し、うつ症状や不眠症を緩和する。
*脳機能を高め、集中力や記憶力を増進させる。
*血行を良くし体中の血液の流れを高め、血管や毛細血管を強くする。
*心臓の働きを助け、肝臓や腎臓の機能を増進させる。
*血管体系を強化し結合組織を強め、血管の炎症を治す。
*ハンセン病の皮膚障害を修復する効果がある。
*コラーゲンの生成を促す。

アーユルヴェーダ医学においてゴツコラは若返りの薬、もしくはmedhya(脳力増進の意味)rasayana(滋養強壮の意味)と呼ばれ、心的疲労を減少させ精神を明晰にする強壮剤として良く知られている。また、血行促進と浮腫の改善以外にも、様々な皮膚のコンディション改善や体の内外の潰瘍に用いられている。インドのアーユルヴェーダ薬局方に載せられている適応には、炎症、味覚障害、熱、咳、かゆみ、皮膚疾患、多尿、呼吸困難、喘息、貧血がある。ゴツコラを用いるアーユルヴェーダ療法では、複数のハーブや果実を混ぜたペーストで温かい牛乳と共に服用し、心的疲労や神経衰弱、不眠症、記憶喪失に対する脳の強壮薬として処方されている。


●西洋におけるゴツコラの機能性

アーユルヴェーダに代表される東洋でのゴツコラの活用とは別に、欧米でもその機能成分などが注目され、主にトリテルペン系サポニンのアジアティコシドやアルカロイド、それに苦味質などが関与していると考えられ、過剰なストレスに対する適応力を向上させ、心身に抵抗力をもたらすと共におだやかな抗うつ作用も指摘されている。


アジアティコシド(asiaticoside)

欧米の植物療法では18世紀にイタリアで強皮症(皮膚や内臓が硬くなるという特徴を持つ病気)の緩和のために処方されて以来、現代に至るまでゴツコラは利用されている。米国では近年、ゴツコラの効果の中でも学習能力を高めることに注目が集まっている。 アジアではすでに定評があるゴツコラだが、研究によって抗酸化作用だけでなく、学習力と記憶力の向上に効果があることが示されている。さらに皮膚のただれや潰瘍など皮膚組織の損傷を修復し、治りにくい傷の治癒(創傷治癒)を早めるなどの報告もあり、今後は痴呆やアルツハイマー病への応用が期待されている。
ここからは欧米での研究について少しご紹介しておきたい。

ゴツコラのトリテルペンサポニンのアシアチコシドマデカッソシドといった抗酸化作用が静脈瘤、下肢腫脹などの循環器系疾患の治療に有効とされ、さらにコラーゲンの生成や繊維芽細胞(皮膚の結合組織の主成分)の活性化促進効果により、創傷や乾癬などの外傷治療にも広く利用されている。

19世紀米国の折衷主義を標榜する内科医は、皮膚疾患の治療に近縁種を用いていた。とはいえ、米国ではゴツコラが知られるようになったのは第2次世界大戦後だ。ゴツコラ入りのハープティーが延命茶として戦後、米国で販売された。前述の李青曇が飲んだのと同じであろうものだったようだ。ゴツコラの延命効果は実証されていないが、ゴツコラに記憶や認知を助ける作用があることは、その後の研究で明らかになっている。

現在、アメリカでは栄養補助食品、化粧品、ホメオパシー調剤としての使用が規制・許可されている。
外用する場合、コラーゲンの生成を促したり、皮膚を治す結合組織の主な成分である線維芽細胞を活性化したりすることで創傷を治す。血管への抗酸化作用も、循環器系疾患に効果があると考えられる。標準化エキスのトリテルペノイド化合物60〜120mgを3カ月にわたり投与したところ、下肢腫脹や静脈機能不全による諸症状の緩和が見られたとの報告もある。

また標準化エキスのカプセル剤と外用として塗布するクリーム剤のどちらも、静脈瘤に悩む人々に用いられている。トリテルペン化合物には、多くの有用性があると考えられている。さらに抗炎症性物質や抗酸化物質として知られるケルセチンルチンなどのフラボノイドのほか、抗菌作用のある精油も含まれている。またカナダでは「伝統的にアーユルヴェーダ医学で食欲不振や咳止めに使われてきた」という但し書きを条件とする、自然健康製品に認可されている成分である。

ヨーロッパではゴツコラの製剤に関して、ちと厳しいようだ。
英国では、ゴツコラは外用のみの一般販売用医薬品とされている。2010年11月に欧州医薬品庁(EMA: the European Medicines Agency)はC. asiatica製剤については、現時点でCommunity Herbal Monographを掲載できないとする声明書を発表した。理由は次の2点である。
(1)TECA(titrated extract of C. asiatica:C. asiaticaから3種類のトリテルペンのアシアチコシド、アシアチン酸、マデカシン酸を抽出し、それらを濃縮することにより標準化した製剤)の医薬用途がヨーロッパで少なくとも過去30年に渡って確立されてきているが、EMAはTECA(商品名Madecassol[バイエル社]、Centellase[バイエル社]、Blastoestimulina[アルミラル社])はハーブ製剤として分類できないと決定した。
(2)その他のゴツコラ製剤に関するデータもあるが、現在入手可能なデータは現時点において標準化モノグラフの作成に不十分と見られる。しかし、欧州薬局方品質基準モノグラフ(European Pharmacopoeia quality standards monograph)は乾燥・裁断されたC. asiaticaの地上部を掲載しており、最低6.0%のアシアチコシド(トリテルペン誘導体)を含むこととしている。

また新しい米薬局方モノグラフの分析でも、6つのトリテルペンが含まれる。マデカッソシド、アシアチコシドB、アシアチコシド、マデカシン酸、テルミノール酸、アシアチン酸である。 製剤に関しては厳しい基準を設けられているEUだが、サプリメントなどの食品分野では米国同様、広く使われている。 ただし、肝臓疾患のある人や、肝臓疾患を引き起こすおそれがある薬剤を服用している場合は摂取を避けるべきだ。また胃もたれや吐き気が生じるケースも報告されている。外用(化粧品・クリーム製剤など)では、発疹が生じた場合使用を即中止すること、妊娠中は摂取してはいけない、等の注意が必要である。

(文責 株式会社ホリスティックハーブ研究所)


参考文献(書籍)
「新版 インドの生命科学 アーユルヴェーダ」上馬場和夫 著
「世界薬用植物百科事典」 誠文堂新光社  A.シェヴァリエ
「和漢薬百科図鑑 改訂新版」難波恒雄 著
「日本の野生植物 草本II 離弁花類」佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他
「日本の有毒植物 (フィールドベスト図鑑) 」佐竹元吉 監

「薬草カラー大事典―日本の薬用植物のすべて」伊澤一男 著
「健康・機能性食品の基原植物事典」佐竹元吉ほか著
「メディカルハーブの辞典」 林真一郎編
「Botanical Safety Handbook」 アメリカハーブ製品協会(AHPA)編
「The complete New Herbal」 Richard Mabey著
「The Green Pharmacy」 James A Duke著

データベース・公文書等
NIH National Library of Medicine’s MedlinePlus
Proceedings of the National Academy of Sciences 健康食品データベース 第一出版
Pharmacist’s Letter/Prescriber’s Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳

論文
・Anand Chaudhary NS. Contribution of world health organization in the global acceptance of Ayurveda. J Ayurveda Integr Med. Elsevier; 2011;2: 179.
・Chandrasekhar K E al. A prospective, randomized double-blind, placebo-controlled study of safety and efficacy of a high-concentration full-spectrum extract of ashwagandh… – PubMed – NCBI [Internet]. [cited 18 Jul 2018]. Available:
・Chandrasekhar K, Kapoor J, Anishetty S. A Prospective, Randomized Double-Blind, Placebo-Controlled Study of Safety and Efficacy of a High-Concentration Full-Spectrum Extract of Ashwagandha Root in Reducing Stress and Anxiety in Adults. Indian J Psychol Med. Wolters Kluwer — Medknow Publications; 2012;34: 255.

 

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