機能性素材を考えるVo1 「日本人はなぜ健康食品が好きなのか?その1」

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このシリーズでは食や栄養の基本的な考え方や今話題の健康キーワードなどを通じて健康食品について考えていきたいと思います。さらには薬とサプリメントは何が違うのか?また栄養素と非栄養素、機能性成分がどうからだに作用するのか?といったお話もさせてもらえればと思っております。食品・医薬品業界に従事する方や健康食品にご興味のある方には、ちょっとしたウンチクとしてご一読ください。(クラウターハウス代表)


機能性素材を考える第1回「日本人はなぜ健康食品が好きなのか?その1」

よく医師や学術系の方と話していると「日本人の最大の誤解は病気やケガを薬が治してくれると信じていること」だといわれます。
実際、治すのは本人の治癒力や免疫力であって、薬はその手助けをしているに過ぎないのです。

たとえばかつて抗菌剤が世に出てきたことで、結核で亡くなる日本人は大幅に減りました。確かに抗菌剤は重要な薬ですが、結核が減った原因は日本人の栄養状態が大幅に改善され、体力がついてきたことも大きく影響しているのです。
1950年代以前は、伝染病など、誰でもうつる病気が主流で医薬品が重要な治療の主役でした。しかし科学が発達し、うつる病気が減る反面、生活習慣病やストレス性疾患などのように、食生活の乱れや人間関係、社会環境などが作り出してしまう病気が主流になってきました。

近代医学の薬はほとんどが対症療法です。だから原因がはっきりしないと治療・投薬ができません。たとえば血圧が140越えれば、病気と判断されますが、100超えただけでは、先生は薬を出せません。塩分控えなさいと言われるだけです。ここが現代医学の盲点です。現代は薬が必要な人よりも、ほっとくと病気になってしまう予備軍が増えたのです。そういう人には薬だけではなく普段の食生活や健康食品が役に立つわけです。降圧剤は高血圧の原因を解消しているわけではなく、普段の食生活を見直さなければ、根本的に治すことはできません。薬を何年にもわたって飲み続けて、それで病気が治っていると勘違いしているのが日本人です。

ここで興味深い消費者委員会の調査結果をご紹介します。
この報告は、2012年に国の期間が全国民を対象に健康食品に特化してその利用や意識について、日本に在住の20歳から79歳までの健康食品利用者3万人を対象に大々的に調査した報告として有名なものです。実は私もこの調査のお手伝いをしておりましたが、この調査は国が行った恐らく最新の調査でした。
この中で特筆すべき点は日本人の健康食品に対する意識です。資料を一部ご紹介しながらご説明します。

調査報告によると、約6割の消費者が健康食品を利用していて、50代以上の約3割が健康食品をほぼ毎日利用している。そのうち約6割の利用者が概ね満足しているが「不満」又は「やや不満」と回答した人の約8割が「期待したほどの効果がなかった」と感じている。という結果でした。
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また利用目的は「体調の維持や健康の増進」の割合が高く、特定の事項 (美容・ダイエット等)を目的とした人の割合は 14~15%と比較的低く、さらに購入時最も重視するポイントとして、「効き目・有効性」と回答した利用者は約5 割と最も多いという結果でした。

つまり「健康である為の食品が健康食品である」とわかっていても、実際には、薬のような結果、「効く」ということを期待して購入しているということです。

この傾向は、昨年、民間調査会社で行ったインターネット調査でも同様の傾向でした。また東京都の最新調査(2022年)でも同様の意識がうかがわれます。
つまり 10年たっても意識は変わってないということが言えます。
このことは健康食品に限ったことではありません。ハーブのような自然の伝統食品に関しても、「薬の代わりに・・」と考えて興味を持たれる方もまだまだ多いということが言えます。

また、このことは、欧米と日本人の医療と健康維持に対する考え方の違い、有効性と有用性の意味がわかっていないことによる意識の違いとも言えます。実はこれが健康被害を生む原因にもなっている。ということなのです。

このような体に良い食べ物にお薬と同じ効果を期待してしまうという発想が利用率の高さにつながっていると言えます。
また、情報収集のあり方も日本人の健康食品利用率の高さにつながっています。時代とともに健康食品の売り方が変わってきている要因でもあります。
このことについては次号でお話ししたいと思います。


*調査内容については、以下のURLで公開されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
消費者委員会調査(2012)
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2012/houkoku/201205_report.html

東京都の最新調査(2022)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/01/19/17.html

(文責 クラウターハウス代表 橋口智親)

 

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