おじさん、おばさんの味方〜クランベリー

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おじさん、おばさんの味方〜クランベリー

クランベリー Crnberry

クランベリーは、アメリカ・カナダの伝統ベリーで、泌尿器系の機能性以外にもストレス性の胃腸炎やピロリ菌への関与も注目されています。

学名: Vaccinium macrocarpon/ oxycoccos (ワァキニクム マクロカルポン/オクスイコクコス)

和名・別名:オオミノツルコケモモ〔大実蔓苔桃〕

科名:ツツジ科

使用部位:果実


leaf3_mini 植物分類と歴史

クランベリーはツツジ科ツルコケモモ属の小果樹で、北アメリカやヨーロッパ、日本などの寒冷な地に自生している。品種は主に4系統に分けられ、ツルコケモモ(蔓苔桃)、ヒメツルコケモモ(姫蔓苔桃)、オオミノツルコケモモ(大実蔓苔桃)、アクシバ(灰汁柴、青木柴)などが存在する。トゲのある植物で赤い鮮やかな果実を一面につけるため「湿地のルビー」と呼ばれる。果実は1cm程度の大きさで、熟するとチェリーのように赤くなるが、果実自体の酸味や渋みが大変強く生食にはちょっと厳しい。(私は自宅で育てて食べているが確かに酸っぱい!)最近は街中の花屋さんでもクランベリーの鉢植えが売られていて、手軽に自宅で栽培できるようになってきた。ひと鉢で毎年50個前後の実がなるので、私は1日1、2個づつ食べている。時には猫や犬たちとクランベリーを奪い合うことも。ペットたちも体に良い食べ物は分かるみたいだ。


クランベリーの実

原産地である北米では、ブルーベリー、コンコードグレープと並んで北米三大フルーツのひとつともいわれているほど有名な果実だ。生産高は カナダでは、オンタリオ州がクランベリーの収穫率1位で、米国ではウイスコンシン州が第1位で全米生産量の半分以上を占める。北米大陸北部の冬はとても厳しい為、クランベリーは雪の下で冬越しをする。クランベリーはその収穫方法が面白い。まず畑に水をクランベリーより15cmほど上まで入れる。クランベリーの木を上からたたくことにより実が落ち、水面に落ちた実を収穫するので効率がよくなる。クランベリーの実は硬いため、たたいても割れることがない。事前に敷いてあるビニールなどを、トラクターを用いて両側から寄せ、集まった実を最後にポンプで吸い上げるそうだ。クランベリーは内部が空洞になっているため、水を張ると浮いてくる。つまり大量のクランベリーを一度に収穫する最も効率的な方法なのだとか。さらに、畑にはった水はクランベリーの木を冷害から守る効果もあるため、春まで水を抜かずにそのまま越冬させるそうだ。

  

その歴史は大航海時代にさかのぼる。北アメリカの先住民のインディアンたちはクランベリーを食糧として、あるいは染料などにも役立てており、特に自然薬として重宝していたようだ。彼らは1620 年にマサチューセッツで食べ物がなく飢えたイギリスから来た開拓移民(ピューリタン)にクランベリーを教えたとされる。ピューリタンたちは、その大地に春に咲く花が、グルーという鶴(crane)の頭とくちばしに似ていることから“Cran-Berry”と名付けた。それが後世に伝わって“Cranberry”となり、今に至っている。

開拓者たちは、伝統的な感謝祭のご馳走にこの果実を取り入れた。彼らは自らをピルグリム・ファーザーズ(北アメリカに移住し植民地を築いた清教徒の一団)と呼んでいたが、その大半がイギリスの都会の出身であり、新大陸の荒野で暮らす術を知らなかった。彼らの多くは森を恐れ、狩猟の腕もなかった。イギリスでは狩猟は貴族だけのものであり、一般の人々にとっては、獲物を銃で撃つことは罰金や処罰の対象であったのだ。さらに彼らが持ち込んだイギリス産の小麦の種は植民地の土壌では発芽しなかった。最初の1年で植民地の住民の半数が病死した。
もし先住民のワンパノアグ族インディアンの助けや指導を受けることがなければ全滅していたといわれる。ピューリタンたちはワンパノアグ族を敵対する部族から守ることと引き換えに、ワンパノアグ族の土地にとどまることを許されることになった。インディアンたちは入植者たちに彼らがそれまで知らなかったトウモロコシという食物の育て方を教え、新しい土壌でよく育つ農作物を教えた。ワンパノアグ族は1年を通じて、土地がもたらす多くの恵みに対する感謝の祭事を行っていた。
そしてピューリタンもまた英国で収穫のときに感謝祭を行っていた。1621年の秋までには、入植者たちは新しい土地で暮らしていくことを学び、トウモロコシ、大麦、豆類、そしてカボチャなどの豊かな収穫を得た。そういった中でクランベリーも彼らの食材となっていくのである。

古くはネイティブアメリカンが「食料・薬・染料」に利用し、生活にかけがえのないフルーツとして大切にしてきた果実。その後入植したピルグリム・ファーザーズたちがビタミンC豊富なクランベリーを壊血病や整腸の予防薬として活用し、広くアメリカに伝わっていった。今日でもクランベリーは、ジュース、製パン材料、感謝祭やクリスマスの七面鳥に欠かせないクランベリーソースなど幅広く愛用されている。

leaf3_mini 成分ほか

プロアントシアニジン、キナ酸、ビタミンC、E、フラボノイド類、ペクチンなど

leaf3_mini 安全性基準

クラス1
(Botanical Safety Handbook 2nd edition アメリカハーブ製品協会(AHPA)収載)

leaf3_mini 学術データ(食経験/機能性)

クランベリーはニューイングランド各州の湿地帯や沼地で生育しており、今日では必ず感謝祭のテーブルに乗る。インディアンはこの酸味のあるベリーをさまざまに利用していた。七面鳥、トウモロコシ、カボチャ、スクワッシュ、ナッツ、そしてクランベリーソースは最初の感謝祭を表すシンボルとなっている。これらのシンボルは、ピルグリムとメイフラワー号の絵と同様に感謝祭の休日の飾りやカードに描かれている。またドライフラワーや色とりどりのひょうたんや「インディアン・コーン」と共に、オレンジや赤、茶色や黄色といった秋の色も、テーブルやドアの飾りによく使われている。これらはすべて収穫と秋の季節を表すものである。前述のワンパノアグ族には「ibimi」(ビターベリー)として知られており、古くから食用および薬として使われてきた。イヌイットはクランベリーの葉をタバコのように吸っていたし、チペワ族はカンジキウサギを捕まえるエサとしてクランベリーを使った。


ペミカン

さまざまな使い方があるクランベリーだが、最も有名な使途といえばペミカンという保存食がある。
ペミカンとは、干した鹿肉と脂肪にクランベリーを混ぜた保存食で、パワーバーの原型とも言える。高エネルギー食のペミカンは、手早くカロリーを補給してくれる存在として旅人や商人に尊ばれた。今でいうグラノラバーみたいなものだ。

アメリカ原産のクランベリーはリンゴンベリーやヨーロッパのクランベリーなどを親戚に持つが、他の品種よりも群を抜いて、たわわに実ることで有名だ。現在、アメリカにおいて品種改良が加えられ広く栽培されており、シロップ漬けにして食したり、他の果汁に混合してジュースにしたり、料理用のソースやお菓子として利用されている。マサチューセッツ州のシェフは地元産の食材を好んで使うらしいが、クランベリーは、スイーツにもメインディッシュにも合う優秀な食材。独創的な高級料理から伝統的な家庭料理まで、州全土のレストランやベーカリーでクランベリーが見受けられる。こんがり焼いたフレンチトーストには、カラフルなクランベリーコンポートをトロリとかけてあったり、ランチやディナーで豚のヒレ肉にはクランベリーとスモーキーペッパーを合わせた風味豊かなソースをたっぷりと使う。デザートの定番ではカリッとした食感の甘いトッピングがクランベリーを引き立てるクリスプなどが知られる。
それだけアメリカ人にはソウルフードの一つなのだろう。実際スーパーにいくと、ベリー系が本当に多い。
さて機能性についてだが、当時の医薬品としてのクランベリーの用途は、泌尿器疾患や傷の治療、血液の解毒、胃や肝臓の不調、熱、下痢など、多岐に渡っていたが、特に航海中のビタミンC不足による壊血病予防に利用されてきた歴史がある。19世紀頃、クランベリーの本格的な栽培が始まり、様々な加工や製品の開発が知られるようになり、20世紀末になるとクランベリーの特性に対する研究が進められ、クランベリーの抗菌作用による尿路感染症、歯周病への効果が明らかになっていく。

米国で仕事したことがある人は経験があるかもしれないが、会議等でアルコールが飲めない時のソフトドリンクで常に人気上位なのがクランベリージュースで、ほとんどのサラリーマンが注文する。私もかつて米国内線で機内のクランベリージュースが無くなり、飲めなかった経験もある。国内線に乗る女性、特に40歳以降のご婦人たちが、機内のなるべく前方の席を予約確保する理由の1つが、クランベリージュースが品切れになる後方席を避けることだと聞いたことがあるくらい、年配のアメリカ人にとっては、大切な飲み物のようだ。

以下に主な機能性について紹介する。

●感染症の予防
米国内でクランベリージュースを愛飲するようになった背景には、1994年にハーバード大学医学部が、クランベリーが尿を酸性にし、バクテリアの増殖を抑える効果があると報告したことがきっかけで、その後キナ酸の尿のpH値を弱酸性に保ち雑菌の繁殖を防ぐ働きや、プロアントシアニジン(PAC)による細菌接着阻害作用などの相乗効果であることが報告されたことによる。実際クランベリージュースのpHは2.0前後で酸性が強いために、アルカリ性を好み尿路感染症の原因菌の1つとされるプロテウス属菌を抑制する作用があるそうだ。
高齢女性153名 (試験群72名、78.1±8.3歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、クランベリー果汁300 mL/日を6ヶ月間摂取させたところ、尿路感染症の発症率が低下したという報告がある。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8093138
また、米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)はクランベリーの研究に助成しており、尿路感染症に対するその効果をよりよく理解することを主な目的としている。ダイエタリーサプリメント室やその他の国立衛生研究所(NIH)の機関もクランベリーの研究を支援しており、例えば国立老化研究所はアンチエイジング効果があるかどうかの基礎研究に助成している。米国ではクランベリーは特別な機能性食品だということがよく分かる。
Cranberry. Natural Medicines Comprehensive Database Web site. Accessed at www.naturaldatabase.com on May 11, 2009.
Cranberry (Vaccinium macrocarpon). Natural Standard Database Web site. Accessed at www.naturalstandard.com on May 11, 2009.
Jepson RG, Craig JC. Cranberries for preventing urinary tract infections. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2008;(1):CD001321.
Klein MA. Cranberry (Vaccinium macrocarpon) Aiton. In: Coates P, Blackman M, Cragg G, et al., eds. Encyclopedia of Dietary Supplements. New York, NY: Marcel Dekker; 2005:143–149.
尿路感染症の多くは、尿道口から侵入した細菌が尿路をさかのぼって感染、炎症を起こす「上行性感染」によるものだ。とくに女性は尿道が短いため、尿路感染症にかかりやすいといわれている。尿路感染症の治療には、主に抗生物質が使われるが、腸内細菌バランスが崩れることによる副作用や妊婦の場合は胎児への悪影響等の報告例も少なくないため、欧米の医療機関ではクランベリージュースの飲用を推奨しているようだ。
関与成分のキナ酸は水溶性の非フェノール性のカルボン酸で、肝臓で代謝されることにより馬尿酸へと変化する。尿は通常弱酸性に保たれているが、アルカリ性になると細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎や腎盂炎を引き起こす可能性があるわけだが、キナ酸は体内に入ると腸管で吸収され血液に入り、肝臓で代謝され安息香酸となり、最終的には馬尿酸に変化する。この馬尿酸によって感染菌が増殖する原因である尿のpHが、健康な尿と同じ弱酸性に保たれることで感染症の予防に繋がる。

またプロアントシアニジン(PAC)はクランベリー以外の果物にも含まれているが、クランベリーの場合は100gに対して418.8mgものPACが含まれている。PACには多様な構造と特性があり、様々な生理活性を持っている。その結合様式の違いから、主に二重結合A型と一重結合B型に大別される。クランベリーにはA型のPACを含むという点が特徴だ。このA型PACのみ細菌付着防止能を持ち尿路の健康促進作用があることがわかっている。一般にリンゴ、ブドウ、プルーン等、他のほとんどの果物に含まれているPACはB型のものが多いためこの能力は見られない。A型PACは細菌の絨毛をガードし、膀胱や尿路の壁に付着しないように働きかける。細菌が付着するのを防ぎ、体外へ排出することで、感染症を予防する。この付着防止作用は、BL-DMAC法によって測定された36mgのA型PACを毎日の用量として摂取することで可能となることがAFSSA(フランス食品衛生安全庁)によって確認されている。飲用から2~3時間後にはその働きがスタートし、細菌の活動が停止され無毒化されるようだ。ただし既に発症している尿路感染症の治療に有効であるとはまだ証明されていない。
大腸菌が原因である膀胱炎の治療で処方される抗生物質の性格及び、その抗生物質によって殺菌される大腸菌が作りだす毒素であるエンドトキシンの性格を考えると、膀胱に侵入してきた大腸菌が感染し、症状が拡大する前に、殺菌することなく、大腸菌の感染を阻止することができれば、エンドトキシンショックを防ぐことができ、腸内の乳酸菌の環境を一変させることもふせぐことができることになる。それをかなりの確率で効率的に行うことを可能とする素材がクランベリーのエキスだ。加えてエキスには、糖分のD-マンノースの作用により、大腸菌を殺菌するのではなく、膀胱内膜の壁をガードして大腸菌が繁殖し難い状態を作るので、抗生物質で大腸菌を殺菌することによる腸内環境への弊害などの2次被害も招くことがない。もちろん再発の予防にも有効ということになる。

●ピロリ菌への関与
またクランベリーは、ピロリ菌が胃の中に住みついて潰瘍を引き起こすのを減少させる可能性があるという報告もある。
*イスラエルの大学からの報告
(Inhibition of Helicobacter pylori adhesion to human gastric mucus by a high-molecular-weight constituent of cranberry juice)
この発表と同じ年には中国の北京大学からも同様の研究報告が発表されている。様々なストレスにさらされている現代人がストレス性の胃炎や胃潰瘍で苦しまないようにするための予防策としてもクランベリーエキスは有効な予防機能性成分だと思われる。

●歯周病予防
クランベリーを摂ることは、歯周病を予防する効果があるといわれる。歯周病菌の1つであるストレプトコッカス菌の増殖を抑えることが報告されている。わずかな基礎研究の結果ではあるが、クランベリーには抗酸化特性があり歯垢(歯周病の原因)を減らす可能性があることも示唆されている。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18663617
口内で発生した歯周病菌や歯垢に対しても、プロアントシアニジンが作用すること増加を防ぐことができるため、クランベリーを摂ることで歯周病を予防することが可能であるといえる。ただし虫歯の初期段階ではエナメル質が酸性になることが原因とされているため、歯磨き後の就寝前にクランベリージュースを飲むことはかえって口腔内を酸性に誘導して虫歯の発生を助長することにもなるためクランベリーをエキスとして抽出したサプリメント形状のもののほうが、よりクランベリーの恩恵を受けやすいのではないかと思われる。

(文責 橋口)

参考図書
「ピューリタン革命と複合国家」岩井 淳著
「アメリカ・インディアンの歴史」富田 虎男著
「世界の食文化12アメリカ」本間 千枝子著
「自由の女神が愛したアメリカンスイーツ」西脇千賀子著
「メディカルハーブの辞典」 林真一郎編集
「The Green Pharmacy」 James A Duke著
「The complete New Herbal Richard Mabey著
「Botanical Safety Handbook」 アメリカハーブ製品協会(AHPA)編集
「Fifty Plants that changed the course of History」 Bill Laws著

データベース
Proceedings of the National Academy of Sciences
健康食品データベース 第一出版 Pharmacist’s Letter/Prescriber’s Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳
米国国立医学図書館 PubMed®

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